うつ病のご本人が出来る事・やるべき事
うつ病の原因は、精神疲労・肉体疲労の蓄積ですので、休めばちゃんと治ります。ただし、数日休んで治るものではありません。
一番うつ状態が深い数週間は、しっかり休んで、そこから無理せず少しずつ少しずつリハビリ期を過ごします。それを数か月続けてやっと完治していきます。
とにかく休んでください。いけないのは、例えば「心を癒そう」とか「楽しい新しいことを始めよう」と、未知のことには絶対に手を出さない事です。
いくら楽しいことでも、実は「変化」がストレスになっています。癒されるためにペットを飼ったり、新しい趣味を始めると、それに対応するためにはたくさん勉強したり作業が必要になります。現実には難しい事ばかりで、余計に疲れ果ててしまいます。
うつ病状態にある方は、特に判断力も鈍っているので、上手くいかないことが多くなってしまいます。
うつ病のご本人にとって、一番の理想は仕事を休むことですが、まじめなあなたはそれができないはずです。
仕事を休むことによって、「怠け者と思われる」「みんなに迷惑をかける」と考えてしまうようなら、かえってそれもストレスになりますので、どうしても休めない方は、それでも良いのですが「新しい仕事」をなるべく避けることと、一定量に絞るようにしてください。
上司から何か大きな仕事を任されたら、こっそり相談してみてください。
いきなり言うのが怖ければ、まずは病院で診察を受けて、その結果を報告すればお医者さんの後ろ盾がありますから、安心して話せます。そして薬も飲みながらリハビリをしていけば良いです。
私はあなたの素晴らしさを知っていますよ。まじめだから悩みます・頑張ります・無理をします。でも休む時は休まないといけません。頑張ってきたあなたには、ちゃんと休む権利があるのです。
私たちはスーパーマンではありませんから、それで良いのです。そして、うつ病を乗り越えて、次は同じ苦しみを持っている別の誰かを助けてあげてください。それはとても素晴らしいことです。
うつ病のご本人ができること・やるべきこと
うつ病を経験していると、「自分には何もできない」と感じてしまうことが少なくありません。
頭では「良くなりたい」と思っていても、心と体がついてこない・・・そんな自分を責めてしまうこともあるでしょう。
けれど、うつ病は「怠け」でも「気の持ちよう」でもありません。脳や神経の働きが一時的にうまく機能していない"心の風邪"のようなものです。
だからこそ、焦らずに、少しずつ「今の自分にできること」から始めていくことが大切です。ここでは、うつ病のご本人ができること・やるべきことを、やさしい視点からお話しします。
まずは「休むこと」を自分に許す
うつ病の回復で一番大切なのは、「しっかり休むこと」です。
多くの方が、真面目で責任感が強く、「休む=悪いこと」と思ってしまいます。仕事を休むこと、家事をサボること、人付き合いを断ること・・・それらに罪悪感を感じる方は多いでしょう。
でも、うつ病は「頑張りすぎた結果」として心が疲れ切ってしまっている状態です。たとえるなら、全力疾走を続けたあとに足が動かなくなってしまったようなもの。そんな時に無理に走ろうとしても、かえってケガを悪化させてしまいます。
休むことは、治療の一部です。
「何もしていない」ように見えても、あなたの心と脳は、静かに回復の準備をしています。
「今日は何もできなかった」ではなく、「今日は心を休めた」と言葉を置き換えてあげましょう。
完璧を手放して、「できたこと」を数える
うつ病の方は、「できなかったこと」にばかり目が向きがちです。
「今日も家事ができなかった」「メールの返信ができなかった」「誰とも話せなかった」
そうやって自分を責めてしまいます。
でも、本当に大切なのは、「できたこと」を見つけることです。
・朝起きて顔を洗えた
・食事を少しでも取れた
・ベッドから起き上がれた
・泣けた
・眠れた
・薬を飲めた
どれも小さなことに思えるかもしれません。けれど、それは確実に「前へ進む一歩」です。
完璧を目指すより、「今日はこれができた」と小さな成功を重ねていくことで、自己否定の気持ちは少しずつ和らいでいきます。
思考を「白黒」ではなく「グレー」で見る練習
うつ病のとき、人は極端な思考に陥りがちです。
「全部うまくいかない」「私はダメだ」「何をやっても意味がない」と、世界が白か黒かでしか見えなくなってしまうのです。
でも、実際の人生はその中間、「グレー」の部分にこそ真実があります。
たとえば、
「今日は何もできなかった」ではなく、「午前中は休んだけれど、午後はご飯を食べられた」と考えてみる。
「私はダメな人間だ」ではなく、「今は調子が悪いだけ」と言い換えてみる。
こうした小さな思考の修正が、やがて心の回復力を育てていきます。完璧主義の人ほど、この"グレーの視点"を持つことが、回復の大きな鍵になります。
生活リズムを「ゆるやかに」整える
うつ病の回復には、生活リズムの安定がとても大切です。
ただし、いきなり「早寝早起き」「三食しっかり」などを目指すと、プレッシャーになってしまいます。
おすすめは、「体調が良い日に、できる範囲で少し整える」くらいの気持ちです。
・朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる
・お風呂にゆっくり入る
・眠れない時は無理に寝ようとせず、静かな音楽を聴く
・夜にスマホやニュースを見すぎない
これらを「やらなければならない」と思うのではなく、「できたらいいな」くらいの感覚で試してみてください。生活リズムを"整える"というより、"寄り添う"ようにしていくことが大切です。
信頼できる人・専門家に話す勇気を持つ
うつ病のとき、多くの人が「誰にも話せない」と感じます。
「迷惑をかけたくない」「理解してもらえない」と思って、気持ちを閉じ込めてしまうのです。
しかし、孤独はうつ病を長引かせる大きな要因になります。
信頼できる友人や家族、あるいは医師やカウンセラーに、少しでも気持ちを話してみましょう。
「話すこと」は、心の中の圧力を少しずつ抜く行為です。
たとえば、「今、何もしたくない」「もう疲れた」と言葉に出すだけでも構いません。
人に話すことで、自分の気持ちを客観的に見つめられるようになり、回復への糸口が見えてくることもあります。
SNSやニュースから距離を取る
うつ状態のときは、外の情報が刺激になってしまうことがあります。
SNSで他人の幸せそうな投稿を見たり、ニュースで不安を煽る話題を見続けたりすると、「自分だけが取り残されている」と感じやすくなります。
そんな時は、思い切ってスマホを手放してみましょう。
数時間だけでも「デジタル断食」することで、心の中に静けさが戻ってきます。
代わりに、散歩をしたり、空を眺めたり、温かい飲み物をゆっくり味わったりしてみてください。
そうした"静かな時間"が、心の再生を助けてくれます。
薬や治療を「信じて続ける」
うつ病の治療では、薬(抗うつ薬など)や通院が長期にわたることもあります。
中には、「薬を飲んでも変わらない」「もう治らない」と感じてしまう方もいるかもしれません。
でも、うつ病の回復は「階段状」ではなく、「波のよう」に進むものです。
良い日があったり、また落ち込む日があったり――その繰り返しの中で、少しずつ全体として上向いていきます。
薬の効果はゆっくり現れるものですし、焦ってやめてしまうと再発のリスクも高くなります。
信頼できる医師と相談しながら、無理のないペースで続けていくことが大切です。
「回復とは元に戻ることではなく、新しい自分を見つけること」
うつ病を経験すると、「昔の自分に戻りたい」と願う方が多いです。
でも、回復とは、必ずしも"元に戻ること"ではありません。
うつ病を通して、心の限界や本当の優しさ、自分の大切な価値観に気づく人も多いです。
「頑張らなくてもいい自分」「人に頼っていい自分」「ゆっくり歩いてもいい自分」
そうした新しい生き方を見つけられることも、回復の一つの形です。
焦らず、比べず、自分のペースで大丈夫です。あなたの心は、必ず少しずつ光のほうへ向かっています。
まとめ
うつ病のご本人ができること・やるべきことは、「頑張ること」ではなく、「自分をいたわること」です。
・休むことを許す
・小さなできたことを認める
・完璧を手放す
・思考をグレーで見る
・生活リズムをゆるやかに整える
・信頼できる人に話す
・情報との距離を取る
・治療を信じて続ける
これらを少しずつ実践していくうちに、あなたの心は確実に回復へと向かっていきます。
どうか、自分を責めず、今日という一日を"生き切った"自分を褒めてあげてください。
明日は、きっと少しだけ、心が軽くなっているはずです。
うつ病を治し、再発も予防するためには、生きる目的を見出す必要があります。
多少の失敗でも落ち込むことはなくなります。

