うつ病にかかった時の考え方・治し方・認知療法
うつ病は心が弱いからかかるものではありません。まずは、今うつ状態にある、あなたがそう理解しないといけません。
もし、周囲の人で「お前の精神力が弱いからだ」と言われたら、それは間違いですので気にしなくて良いのです。
うつ病の原因は、心身の疲労の蓄積です。むしろ、普段強がっている人ほど実は、うつ病になる危険性が高いのです。自分の弱さを知らないで無理を続けてしまうからです。
まずは、あなたの現状は「誰もがかかる病気なんだ・・」ということを知って、認めてください。そして十分休息を取ることです。
そして、まずは病院に行きましょう。
他には、認知療法をご自分でやってみることです。
これは特別難しいことではなく、ここ数か月、自分に起こったことをまとめてみて、「あーこんなに無理していたんだ、ちょっと頑張りすぎたかなー」と、現状を知って認めることです。
認めて知るので「認知療法」と名が付いているのです。
さらに出来事だけでなく、その時に自分が何を思ったり感じたりしたかを思い起こすと良いです。
そして、日記的に振り返っていくと、「休息を取って薬を飲んでからはだいぶ良くなってきたなー」という事実が積み上がってくるので、少しずつ自信と落ち着きが取り戻せるのです。
うつ病の治し方のポイントは、そんな認知療法をご自分でやってみることが有効なのと、再発防止にも役立ちますよ(^_^)
うつ病は、単なる「気分の落ち込み」ではありません。
脳の働き、思考のパターン、生活習慣、人間関係、ストレスなど、さまざまな要因が重なり合って起こる心のエネルギー障害です。心が弱いから、努力が足りないから、という問題では決してありません。
しかし、うつ病は「治る病」です。
時間と正しい理解、そして少しの工夫によって、再び生きる力を取り戻すことができます。
ここでは、うつ病にかかった時に大切な「考え方」、そして「治し方」と「認知療法」について、順を追って解説していきます。
1. うつ病になった自分を責めない
うつ病になった人の多くは、まじめで責任感が強く、他人を思いやる傾向があります。だからこそ、心が疲れきっても「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込み、結果的に限界を超えてしまうのです。
まず最初に理解してほしいのは、「うつ病は怠けではない」ということ。脳の神経伝達物質(セロトニンやドーパミンなど)のバランスが崩れ、意欲や思考、感情のコントロールが難しくなっている状態です。
風邪で熱が出るように、うつ病では「脳のエネルギーが低下している」と考えると分かりやすいでしょう。
したがって、最初のステップは「自分を責めないこと」。
「何もできない自分」「昔は頑張れたのに」という思考をいったん脇に置き、「今は心の風邪をひいているだけ」と受け止める。それが回復の第一歩になります。
2. 治すための基本:休養・治療・環境
うつ病を回復させるには、まず「休むこと」が必要です。
心と体が限界を超えたままでは、いくら前向きな考え方を学んでも、脳がそれを受け入れる余力がありません。
仕事や学業から一時的に離れる勇気も必要です。周囲に理解を求め、主治医と相談しながら、安心できる環境を整えましょう。
次に、「治療」。医師による診断と、必要に応じた薬物療法が基本です。抗うつ薬や抗不安薬は、脳の化学的バランスを整え、思考を安定させる手助けをします。ただし、薬は「根本的な解決」ではなく、「考え方を変えるための土台作り」です。
そして、「環境」。
ストレスの原因となる人間関係や生活習慣を見直すことが重要です。完全に避けられない場合でも、「距離を置く」「負担を減らす」などの工夫ができます。
生活リズムを整え、朝に日光を浴びるだけでも、セロトニンが分泌され、少しずつ回復のスイッチが入ります。
3. 認知療法とは何か
うつ病の回復において重要なのが、「認知行動療法(CBT)」です。
これは、「物事の受け止め方(=認知)」を少しずつ修正することで、感情や行動を変えていく心理療法です。
うつ病の人は、「全か無か」「自分責め」「未来悲観」など、極端でネガティブな思考パターンに陥りやすい傾向があります。
たとえば、上司に注意された時、「私はダメな人間だ」と思い込む。これは「過度の一般化」という思考のクセです。
認知療法では、こうした自動的な思考を一つずつ見つけ出し、現実的で穏やかな考えに修正していきます。
4. 思考の歪みに気づく練習
以下は、うつ状態でよく見られる「思考の歪み」の代表例です。
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全か無か思考:「少しでも失敗したら全てダメだ」
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過度の一般化:「一度失敗したから、これからもうまくいかない」
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マイナス化思考:「うまくいったことより、うまくいかなかったことばかり気になる」
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心の読みすぎ:「きっとあの人は私のことを嫌っている」
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すべき思考:「もっと頑張るべきだ」「失敗してはいけない」
これらに気づいたら、次のように自分に問いかけてみましょう。
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「本当にそうだろうか?」
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「他の見方はできないか?」
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「100点じゃなくても、60点でいいのでは?」
この小さな問いが、思考の硬直をゆるめ、気持ちの回復を促します。
5. 感情を無理に変えようとしない
うつ病のときは、「前向きに考えなきゃ」「感謝しなきゃ」と思うほど、心が苦しくなるものです。
認知療法の目的は「ポジティブになること」ではなく、「現実的になること」。
悲しいときは悲しんでいい。何もできない日は休んでいい。
「ネガティブでもいい自分」を認めることが、実は最も健全な考え方です。
自分を許すことができた瞬間、心は自然に軽くなり、回復力が戻ってきます。
6. 小さな行動を積み重ねる
うつ病では、行動するエネルギーが極端に落ちます。
しかし、動かない時間が続くと、ますます自己否定が強まり、悪循環に陥ってしまいます。
認知療法では、「行動活性化」と呼ばれる方法も重視します。
たとえば、「朝起きてカーテンを開ける」「コップ一杯の水を飲む」「5分だけ散歩する」。
このような"小さな成功体験"を積むことで、「自分は少しずつできている」という実感が戻ります。
人は行動を通して回復します。思考を変えるだけではなく、体を動かすことで、脳内の神経伝達が改善し、心も自然に前向きになります。
7. 再発を防ぐための心構え
うつ病は、一度良くなっても再発することがあります。
しかし、それは失敗ではありません。再発は「心の使い方を学ぶチャンス」でもあります。
再発を防ぐには、
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無理をしない
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完璧を目指さない
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感情を我慢しすぎない
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自分を支えてくれる人に早めに相談する
という4つの姿勢が大切です。
うつ病を経験した人は、自分の限界を知り、ストレスへの耐性を持つようになります。
その意味で、うつ病の回復とは「生き方を再構築する過程」なのです。
8. 最後に:うつ病はあなたの人生の「終わり」ではない
うつ病になると、「もう自分はダメだ」「この先何の意味があるのか」と感じてしまうことがあります。
けれど、うつ病を経験した人の多くは、その後、より深く人の気持ちを理解できるようになり、人生観が変わったと語ります。
苦しみの中で学んだ「人間の弱さ」と「優しさ」は、あなたにしか持てない財産です。
焦らず、比べず、一歩ずつ。
今日を生きることができたなら、それで十分です。
うつ病は、あなたを壊すものではなく、あなたを「再び作り直す」プロセスでもあります。
どうか希望を捨てず、必要な助けを求めながら、少しずつ回復の道を歩んでください。
うつ病を治し、再発も予防するためには、生きる目的を見出す必要があります。
多少の失敗でも落ち込むことはなくなります。