うつ病治療に使う抗うつ薬の効果と副作用
周囲の人も、「そんな薬、止めたほうがいい」と言ってしまいがちです。
また、抗不安薬や睡眠薬は、寝つきが悪い、眠りが浅く途中で目がさめる、朝早く目がさめて不安になるなど、不眠のパターンによって薬が違いますし、個人によって効きめが異なります。
何かの反応が遅くなる以外にも、強すぎるとフラフラしたり、だるさが強くて苦しかったり、筋肉痛になるなどの副作用が現れます。
つい、「これぐらいは我慢しなければ...」と思いがちですが、うつ病は「我慢ができない状態」ということを思い出してください。
医師にそんなことを言うと、嫌われると心配する人もいますが、薬に関することは、医師も情報を求めています。自分だけの判断や、自分勝手な知識で薬をコントロールすることがあってはなりません。
また、中には睡眠薬などをため込んで、死にたくなったときに使おうなどと考える当事者もいるものです。通常処方される薬では、ため飲みしても死にはしませんが、大量服薬は大変苦しい副作用を受けることになり、結果的にうつ病の回復効果を妨げてしまいます。
うつ病治療に使われる抗うつ薬の効果と副作用|やさしく解説
うつ病は、心のエネルギーが枯れてしまったような状態です。気分の落ち込み、意欲の低下、眠れない、食欲がない、何をしても楽しくない・・・そんなつらさが続くと、日常生活にも大きな影響が出てきます。
そんなうつ病の治療において、抗うつ薬はとても大切な役割を果たします。この記事では、抗うつ薬の種類や効果、そして気になる副作用について、やさしく丁寧に解説します。不安な気持ちに寄り添いながら、少しずつ理解を深めていきましょう。
抗うつ薬とは?心のバランスを整えるお薬
抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、気分や意欲を回復させるお薬です。
うつ病の原因のひとつとされる「セロトニン」や「ノルアドレナリン」などの物質が不足すると、気分が沈んだり、やる気が出なくなったりします。
抗うつ薬は、これらの物質が脳内でしっかり働けるようにサポートしてくれる"こころの味方"です。飲んだその日から劇的に変わるわけではありませんが、少しずつ、じわじわと心の調子を整えてくれます。
抗うつ薬の主な種類と特徴
抗うつ薬にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。医師は症状や体質に合わせて、最適な薬を選んでくれます。
1. SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
最もよく使われるタイプで、副作用が比較的少ないのが特徴です。セロトニンの働きを高めることで、気分の落ち込みを改善します。
例:レクサプロ、パキシル、ジェイゾロフトなど
2. SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
セロトニンに加えてノルアドレナリンにも働きかけるため、意欲や集中力の改善に効果的です。
例:サインバルタ、トレドミンなど
3. NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
不安や不眠を伴ううつ状態に向いています。眠気が強く出ることがありますが、夜の睡眠を助ける効果もあります。
例:リフレックス、レメロンなど
4. 三環系・四環系抗うつ薬
古くから使われている薬で、効果は強力ですが副作用も多めです。治療抵抗性のうつ病などに使われることがあります。
例:トリプタノール、アモキサンなど
5. 新しいタイプの抗うつ薬
近年登場した薬で、複数の作用を持ち、記憶力や集中力の改善にも期待されています。
例:トリンテリックス(ボルチオキセチン)など
抗うつ薬の効果|どんなふうに効いてくるの?
抗うつ薬は、服用してすぐに効果が出るわけではありません。多くの場合、効果が現れるまでに2〜4週間ほどかかります。
最初は「少し気持ちが軽くなったかも」「朝起きるのが少し楽になった」といった小さな変化から始まります。焦らず、ゆっくりと回復していくことが大切です。
たとえば、ある方は「毎日が灰色に見えていたけれど、薬を飲み始めて2週間くらいで、少しだけ色が戻ってきた気がした」と話していました。そんなふうに、少しずつ心に光が差し込んでくるのです。
抗うつ薬の副作用|心配しすぎず、正しく知ろう
抗うつ薬には副作用があることも事実です。ただし、すべての人に出るわけではなく、出たとしても軽度で済むことも多いです。
副作用が出た場合は、医師と相談しながら薬を調整することで、快適に治療を続けることができます。
よくある副作用
吐き気・胃の不快感:特にSSRIやSNRIで見られますが、数日で慣れることが多いです。
眠気・だるさ:NaSSAなどで強く出ることがあります。夜に服用することで対処できます。
口の渇き・便秘:三環系抗うつ薬でよく見られます。
性機能の変化:一部の薬で性欲の低下などが報告されています。
離脱症状(中断症状)
急に薬をやめると、めまいや不安感などの離脱症状が出ることがあります。自己判断で中止せず、必ず医師の指導のもとで減薬しましょう。
抗うつ薬との付き合い方|安心して治療を続けるために
抗うつ薬は、うつ病から回復するための大切なパートナーです。怖がらず、正しく理解して付き合っていくことが大切です。
安心して治療を続けるためのポイント
効果が出るまで焦らない:時間がかかるのは自然なことです。
副作用が気になるときはすぐ相談:我慢せず、医師に伝えましょう。
自己判断でやめない:離脱症状や再発のリスクがあります。
薬だけに頼らない:心理療法や生活習慣の見直しも大切です。
最後に|あなたのペースで、少しずつ前へ
うつ病の治療は、決して「がんばる」ものではありません。むしろ「休むこと」「頼ること」「ゆっくり進むこと」が大切です。
抗うつ薬は、そんなあなたの心をそっと支えてくれる存在です。不安や疑問があっても大丈夫。医師や専門家と一緒に、あなたに合った治療を見つけていきましょう。
「今はつらいけれど、少しずつでも前に進めたらいいな」
そんな気持ちを大切に、あなたの回復を心から応援しています。
うつ病を治し、再発も予防するためには、生きる目的を見出す必要があります。
多少の失敗でも落ち込むことはなくなります。

