うつ病が女性の「表面飾り」によって気付きにくくなる

女性のマタニティブルーとは、出産直後の女性が陥りやすい不眠・ふさぎこみなどの一過性のうつ病状態ですが、さらにそれに続く子育ては、大変な重労働であるにもかかわらず、核家族の影響を受けて母親一人にその負担がのしかかっている場合もあります。

母と子の近すぎる一対一の関係は、ときに子どもに対する虐待に発展することさえあります。さらに、女性の場合、子育てと仕事の両立や嫁ぎ先の家族との関係で悩む方も大変多いように思われます。

このように結婚、出産、子育ては、本来は女性にとって子孫を残すための喜ばしい出来事だったはずなのですが、現代社会においてはうれしい反面、多くの精神的・肉体的活動が必要とされる出来事になってしまい、うつ病の原因にさえなっているのです。

結婚、出産、子育てが「幸せの象徴」というイメージがあるため、その場面で苦しんでいる自分を認めることも難しくなります。もちろん結婚などに伴う苦労があるのですが、周囲のすべての人がそれを乗り越え幸せになっているという概念が、「自分だけ（うまくいかない）妄想」を膨らませてしまうのです。

また周囲も、当事者が楽しい状態にあるとの思い込みから、支援をするタイミングを逃してしまいがちになります。

うつ病状態にある人は、恋愛にしがみつき「この人と結婚しさえすれば、苦しみから脱出できる」と考えることも多いものです。周囲も結婚や子育てが、おめでたいこと・楽しいことというイメージで見ていますので、当事者の希望を後押しすることも多いでしょう。

ところが、結婚・出産・子育ては大変消耗しやすい出来事だということを、周囲の人（特に夫）は忘れないでいてほしいのです。女性は、周囲の人々に明るい顔を見せるかもしれません。しかしそれは「表面飾り」によるものかもしれないのです。

 

うつ病を治し、再発も予防するためには、生きる目的を見出す必要があります。