うつ病の薬の副作用が心配な場合について
当事者だけでなく支後者や家族が強い偏見を持っていることもあります。
まず、うつ病状態で薬物治療を受け、それで人格が変わることはありません。うつ病状態自体が長引いてくると、不本意ながらその状態(うつ状態)特有の感じ方・考え方が、しみついてしまうことがあります。しかしそれは薬のせいではなく、うつ病状態が長くなったせいなのです。
また、抗不安薬が効きすぎたりすると、ボーッとしたり反応が遅くなることはあります。これを周囲の人は「頭が悪くなったのではないか」と心配してしまいます。
これはいわゆる治療薬の副作用と考え、医師に相談してください。患者の日常生活に支障のない範囲(苦しくない範囲)で薬を工夫するのが医師の役割です。
このような副作用については、知らないでいると「うつ病」と捉えてしまい、当事者も自分の健康に自信を失う元になってしまうことがあります。
特に抗うつ薬は、最近は副作用が少なくなってきたとは言うものの、やはり口が渇く、便秘、眠気、立ちくらみ、吐き気、食欲不振、尿が出にくくなるなどの副作用があります。
うつ病の薬に対する不安は、誰にでも起こりうる自然な感情です
うつ病と向き合う中で、薬を使うかどうかの選択はとても繊細で、心に重くのしかかるものです。
もしあなたが「副作用が怖い」「本当に効くのか不安」「飲み始めたらやめられないのでは」と感じているなら、それは決して特別なことではありません。
多くの人が同じような気持ちを抱えながら、悩み、迷い、そして少しずつ前に進んでいます。
薬に対する不安は、あなたが自分の体や心を大切に思っている証です。だからこそ、慎重になるのは当然のこと。まずはその気持ちを否定せず、受け止めてあげてください。「怖い」と感じる自分を責める必要はありません。
副作用が怖いと感じるのは、情報が不十分だからかもしれません
副作用という言葉には、どうしてもネガティブな印象がつきまといます。
吐き気、眠気、体重増加、性機能の低下など、ネットや説明書に並ぶ言葉を見て、ますます不安になることもあるでしょう。
でも、ここで少し立ち止まって考えてみてほしいのです。副作用が「起こる可能性がある」と書かれていても、それが「必ず起こる」わけではありません。人によって体質も違えば、薬の種類や量によっても反応は変わります。
たとえば、
ある人はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を飲んで最初の1週間だけ軽い吐き気を感じたけれど、2週目には落ち着いてきたというケースもあります。
別の人は、眠気が強く出たために薬を変更してもらい、今は副作用なく安定しているという話もあります。
副作用が出たとしても、対応できる方法はたくさんあります
「副作用が出たらどうしよう」と思うと、薬を始めること自体が怖くなってしまうかもしれません。
でも、もし副作用が出たとしても、それに対処する方法はちゃんとあります。
医師に相談すれば、薬の量を調整したり、別の種類に変更したりすることができます。
副作用が強く出る薬もあれば、比較的穏やかな薬もあります。最近では、副作用が少ないとされる新しいタイプの抗うつ薬も登場しています。
また、薬だけに頼るのではなく、心理療法や生活習慣の改善と組み合わせることで、より穏やかに回復を目指すことも可能です。
薬はあくまで「回復の手助け」であり、あなたの人生を支配するものではありません。
薬を使うことは、弱さではなく「自分を守る選択」
「薬に頼るなんて...」と罪悪感を抱く人も少なくありません。
特に真面目で責任感の強い人ほど、「自分の力でなんとかしたい」と思ってしまうものです。でも、うつ病は心の風邪とも言われるように、誰にでも起こりうるもの。
風邪をひいたら薬を飲むように、心が疲れたときに薬の力を借りるのは、自然なことです。それは決して弱さではなく、「自分を守るための選択」です。
たとえば、仕事や育児で心が限界に近づいているとき、薬の力で少しだけ気持ちが軽くなれば、日常を乗り切る余裕が生まれるかもしれません。その余裕が、回復への第一歩になるのです。
薬を使うかどうかは、あなた自身が決めていい
医師から薬を勧められたとき、「断ってもいいのかな」と迷うこともあるでしょう。でも、最終的に薬を使うかどうかは、あなた自身が決めていいのです。
大切なのは、納得して選ぶこと。不安があるなら、医師にその気持ちを正直に伝えてください。
「副作用が怖い」「以前に薬でつらい思いをした」「できれば薬なしで治したい」など、あなたの思いを話すことで、医師もより適切な提案ができるようになります。
信頼できる医師との関係は、回復への大きな支えになります。あなたの気持ちを尊重してくれる医師であれば、無理に薬を押しつけることはありません。
薬を使うことで得られる「心の余裕」もある
うつ病の症状が強いときは、何をするにもエネルギーが湧かず、考える力も落ちてしまいます。そんなとき、薬の力で少しだけ気持ちが持ち上がると、「やってみようかな」「話してみようかな」と思える瞬間が増えてきます。
たとえば、朝起きるのがつらかった人が、薬を使って少しずつ起きられるようになり、散歩に出かけるようになったという話もあります。外の空気を吸うことで気分が変わり、少しずつ回復の実感が持てるようになったそうです。
薬は魔法ではありませんが、心の重さを少しだけ軽くしてくれる「杖」のような存在です。その杖を使って歩き出すことで、あなた自身の力が戻ってくるのです。
副作用が怖いときは、まず「小さな一歩」から始めてみて
薬を始めることに抵抗があるなら、無理に一気に進まなくても大丈夫です。まずは医師と話すことから始めてみましょう。
「副作用が怖いので、少量から始めたい」「様子を見ながら調整したい」と伝えることで、あなたのペースに合わせた治療が可能になります。最近では、微量から始めて徐々に増やす方法も一般的になっています。
また、薬を使わずに心理療法や生活改善から始める選択もあります。薬はあくまで選択肢のひとつであり、あなたの人生を決めるものではありません。
あなたの不安は、あなたが真剣に生きようとしている証です
副作用への不安は、「自分を大切にしたい」「ちゃんと回復したい」という思いの裏返しです。だからこそ、その不安を無理に消そうとせず、丁寧に向き合っていくことが大切です。
もし今、心が疲れていて、何もかもが重く感じるなら、まずは「自分を責めないこと」から始めてみてください。そして、少しずつでも「話してみる」「相談してみる」「選択肢を知る」といった小さな行動を積み重ねていきましょう。
あなたのペースで、あなたらしく回復していくこと。それが何よりも大切です。薬を使うかどうかは、その旅の途中で選べばいいのです。
最後に、あなたへ伝えたいこと
あなたは今、とても大切な選択の前に立っています。不安もあるし、迷いもある。
でも、それはあなたが真剣に生きようとしている証です。
薬を使うことも、使わないことも、どちらも間違いではありません。
大切なのは、あなたが納得して選ぶこと。そして、その選択があなたの心を少しでも軽くしてくれることです。
どうか、自分を責めず、優しく抱きしめてあげてください。
あなたの心が、少しずつでも穏やかになっていくことを、心から願っています。
うつ病を治し、再発も予防するためには、生きる目的を見出す必要があります。
多少の失敗でも落ち込むことはなくなります。

